「地域おこし協力隊」 移住しながら給料がもらえる!?
移住を考えていると「気に入った場所がどんな地域なのか詳しく知りたい」といった思いが生まれます。しかし、ネットや情報誌で書かれているのは他人の感想。自分がどう感じるかは、自分で経験するしかないんです。
そこで私が出会ったのが「地域おこし協力隊」という制度です。サラッとポスターを見ると「気に入った地域で活動しながら報酬が貰える」というものでした。
なら、その地域の人間性や風習などが実感できるじゃん!
しかも給料付き♡
ということで、「地域おこし協力隊」を調べてみました。メリットもデメリットもありますので紹介します。
「地域おこし協力隊」とはどんな制度?
「地域おこし協力隊」とは、人口の減少や高齢化が進む地方で支援を受けながら地域協力活動を行う制度です。
約1~3年以下の期間の間、地方自治体の委託の元で、その地域で生活しながら各種の活動を行います。活動内容は、地域おこしの支援や農林水産業従事、環境保全活動、住民の生活支援などいろいろなものがあり、その活動内容によって報酬は変わります。
報酬は給与と活動費に分けられ、隊員1人につき400万円(給与上限200万+活動費上限200万)を上限としており、平均は月額16万6千円だそうです。
さらに、最終年次または任期最終翌年に起業する場合、「起業に要する経費」として1人当たり上限100万円を支給する制度ができました。
頑張って「地域おこし」をした土地で、起業して生活を続けられるのは嬉しいことですよね。地元民とのコミュニケーションも図りやすくなっているタイミングなので生活もしやすいでしょう。
「地域おこし協力隊」は何をするの?
2019年11月現在で約5,400人が、地域おこし協力隊として全国で活躍しています。
志望理由には、「都会を離れて生活したい」「地域社会に貢献したい」「自然と共存したい」といったものから「面白そうだったから」なんて理由で始める人も。活動内容は「地域コミュニティ活動」が主になっているそうです。
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映像作家の前職スキルを活かした自治体のPR動画やイベントCMの作成
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朝市の開催や協力隊サミットの取りまとめ、イベント企画などの地域活性化運動
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地域行事の誘客から地域産品の情報発信・PRを通した空き店舗や担い手不足解消の支援
といったように「地域コミュニティ活動」とは、その地域の魅力を内外へ発信することで人口増加につなげる活動です。
この活動を見ると「発信力や行動力が無いと、協力隊員になれないのかな?」と思ってしまいますが、ほかにも活動する機会はあるようです。
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教育や学習支援
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伝統産業・技術伝承
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観光・宿泊施設の運営
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文化・スポーツ支援
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農畜産業・林業・漁業
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行政事務・財務
という支援方法もあります。新しい視点とノウハウを持った人たちが地域を盛り上げていくことを期待しているのでしょう。
個人隊員はもちろん、夫婦隊員や外国籍の隊員も活動しており、自分の能力や経験を活かしながら頑張っているようですよ。
「地域おこし協力隊」を将来につなげる
地域おこし協力隊の隊員は、地域協力活動のほかに兼業や副業をしている人が約半数います。やはり、協力隊の報酬だけでは生活に不安があるようですね。
それでも協力隊に参加するのは、「任期終了後の起業や事業化にむけたステップアップにつながるから」という理由が7割を占めています。実際に、協力隊の任期終了後に定住や起業した人は約半数いました。
今現在活動している隊員も「任期が終了したら起業したい」と希望を持っているようです。その希望職種は、協力隊で得たスキルを活かした複合的なものが多いですね。
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観光ツアーやガイド
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旅館や民宿、ゲストハウス運営
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飲食業
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まちづくりコンサルタント、コーディネーター
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アーティストやデザイナー等の芸術、創作活動
などの事業を展開したいと、日々、地域コミュニティ活動に従事しているようです。
「地域おこし協力隊」にも不満はある
自治体側の受け入れ態勢が整っていなかったり、自治体と地元民の間で連携が採れていなかったりすると、協力隊を邪魔扱いする場合があります。
自治体は「早く精力的な活動をして欲しい」と要請してきても、地元民は「勝手なことをするな!」と、抗議の声を上げるケースも。そうなると、協力隊は板挟み状態です。希望や夢を抱いて活動する気になっていたのに、困惑気分でスタートしなければなりません。
また、協力隊の意義を間違って捉えている地域では、便利屋扱いされてしまうこともあるそうです。SNSでは、そういった自治体への不満もあふれています。自治体によって認識や解釈が違うようなので、事前に細かく確認する必要がありそうですね。
やって良かった!「地域おこし協力隊」
もちろん成功例も多くあります。赴任した地域の魅力にはまり、その魅力を発信するために任期終了後、開業する人もいました。
こんにゃくを使ったアレンジ料理ワークショップを開催することになりました。 pic.twitter.com/AgK9vCaEzl
— おこんにゃく茶屋 (@Okoncafe) September 3, 2019
栃木県鹿沼市で地域おこし協力隊をしていた大島さんは、鹿沼市の在来種「和玉」というこんにゃく芋に出会い、「こんにゃく」にこだわった飲食店「おこんにゃく茶屋」を開店しました。食べログでも紹介されていますが、女性のお客さんで満席状態の場合もあるそうです。
サラダのドレッシングからデザートに至るまで、全てにこんにゃくが使われている料理って珍しいですよね。こんにゃくの臭みが全くないので、食べやすいそうです。完食して満腹でも500カロリーなんて嬉しい!栃木に行ったら寄りたいお店です。
「地域おこし協力隊」の募集例は?
例1)協力隊の制度を利用した農業プレイヤー
募集概要
協力隊の制度を利用した将来の三次の農業を担う新規就農者(農業研修生)を募集
活動内容
農作物の栽培技術の習得や農業経営の基礎的な知識取得、地域行事の参加
給与・福利厚生
~20万 通勤手当含む
家賃は月額5万円を上限に予算の範囲内で支給
例2)コミュニケーション力が試される!プロデューサー
募集概要
イベントプロデューサーとして、交流人口増加につながるイベントの企画立案
活動内容
移住者視点での物産販売促進活動・SNSを通じた地域の魅力の情報発信・都市部で開催される移住相談会への参加など新たな移住者への支援
給与・福利厚生
~20万
例3)商店街の活性化を図るアイデアマン
募集概要
空き店舗を活用した新事業のビジネスアイデアの企画立案
活動内容
商工会や商店街、行政と連携した、起業家の育成会への参加など新たな移住者への支援
給与・福利厚生
~16万
※その年度によって募集地域や活動内容は変わってきますので、公式サイトで確認してください。
「地域おこし協力隊」に興味がある方はこちらへ!
「地域おこし協力隊」は、その地域に「愛」がないとできない仕事です。しかし「愛」だけでもできない活動なんです。
それでも、移住したい人にとっては、地域に溶け込む大きな武器になる仕事だと思います。