田舎のルール|会費は仲間に入るための費用!?
ある田舎へ引っ越した橋本さん(仮名)の話。
移住の当日は、隣近所から引っ越し蕎麦の催促が始まり、強制的に町内会へのあいさつ回りをさせられたそうです。これは、田舎暮らしの洗礼ともいえますね。
「これから近所で暮らす新参者です。怪しい物ではありません。仲間にしていただけますか?」と、お伺いを立てないと村八分にされてしまうそうです。
そこで、聞かされたのは町内会費が月2,500円ということ。しかも、入会費がかかるというのです。
それを聞いて橋本さんは「桁が間違っているのでは?」と思ったそう。私も、ぼったくりでは!?と感じ、いろいろと調べてみることにしました。
町内会費や自治会費は都会でも徴収されますが、金額は月々200~500円程度だと思います。しかし、田舎に行くと桁が違う! 月5,000円なんて地域もあります。田舎と都会で何が違うのでしょうか?
移住したら町内・自治会への入会義務はあるの?
実は、町内・自治会へ入会するのは任意なんです。
入らなくても法律違反にはならず、入会への強制力はありません。町内・自治会というのは、「地域に住む住人同士の集まり」つまり、任意団体なのです。
2004年に行われた裁判では
「町内・自治会は権利能力のない社団である。
強制加入団体ではないので、会員の入会や退会を制限できない。一方的意思表示により退会できる」
と、最高裁の判決が出ました。
しかし、行政のサービスが不十分なエリアでは、町内・自治会が地域を守っていることがあります。
入会拒否や脱退者が増えると、道路の灯りは減り、地域活動は無くなり、防犯性が失われることもあるでしょう。
都会で賃貸物件を探すと「町内会入会必須」なんて言われることもありますよね。
さらに、田舎に行くと町内会に入らない=村八分なんてことも。「入らない」という選択肢がない地域が多いのです。
田舎のルール町内会費と自治会費とは
町内会と自治会は同じもの考えていいでしょう。
地域によって変わっていきますが、町内会も自治会も意味合いは同じようです。
自分たちが住む地域の安全性や快適性を維持・向上させるために活動するのが町内会や自治会。
その活動費用は会費として集められます。町内会や自治会の主な活動は以下の5つです。
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防災灯の設置や電球交換
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回覧板での地位活動告知
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子供会や老人会の活動費
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防災・防犯パトロール
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ゴミ収集場所の管理
具体的には何に使われているの?
1.防災灯の設置や電球の費用
高額なイメージある防災灯は、町内会単位で設置する物なの?という声もあるでしょう。
道路安全を管轄する警察署や、自治体との相談の上で設置場所を決定するようです。そして、その費用の一部や全部は町内・自治会費から出ています。
2.回覧板での地位活動告知の費用
町内会や自治会では、道路の側溝掃除やエコイベント、防犯活動の告知など、地域交流を目的とした活動への参加を促しています。そうしたお知らせは、回覧板などで各世帯に告知されるのです。都会では、あまり見なくなった光景ですね。
3.子供会や老人会の活動費
最近、意見が分かれるのが「子供会や老人会」の問題。
都会や新興住宅地では、子供会費と老人会費、そして町内会費は分けて徴収されることが多いようです。しかし、「みんな仲間」の精神が残っている田舎では、夫婦2人の家庭でも子供会費と老人会費を払わなければならないこともあります。
4.防災・防犯パトロール
地域によって内容は異なりますが、自転車のカゴに防犯プレートを付けたり、小学校の登下校中に交差点に立ったり、青色防犯パトロール車を巡回させたりといった活動を行っています。
冬の夜には「火のよーじん マッチ一本、火事の元!カンカン!」なんて、大人と一緒に子供たちが回っている地域もあるでしょう。ボランティアでの巡回ですが、終わった後には温かい甘酒がいただける町内会もあります。この甘酒の費用も防災・防犯パトロール費用から出ているのかも。
5.一番重要な「ゴミ収集場所の管理費用」
町内・自治会費を払わないと使用できないのが、ごみ収集場所です。
カラス除けのネットやゴミ収納庫が設置されているゴミ収集場所のほとんどは、町内会や自治会で管理されています。そのため、町内会や自治会に入会していないと、その場所にゴミを捨てることができません。
マンションなどの集合住宅地では管理会社が清掃していることもありますが、一般なゴミ収集場所は、使用している人たちが美化に努めているでしょう。これは、同じ町内会ゆえの助け合いと考えられています。
「任意」といわれても近所付き合いを考えると、入会を拒否できないのが現状です。
町内会や自治会に参加せず、ゴミを収集してもらうには
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市町村に戸別回収の依頼をする
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自分用のゴミステーションの設置を依頼する
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自分で直接、清掃センターにゴミを持ち込む
などの手段があります。ただし、これらの手段を取ると、近所から孤立することになるので注意しましょう。
田舎は高い!?町内・自治会費
全国の町内・自治会費をざっくりと調べてみました。
・501~1,000円/月 17.9%
・1,001~2,000円/月 10.0%
・2,001~円/月 7.9%
・未加入・不払い 12.1%
毎月の支払いが500円以内という地域は過半数を超えています。
しかし、それは都心が多いようです。そして、1,000円を超える地域は田舎に多いことも分かりました。
人工が密集している地域では、1世帯の会費が少なくても運営できる金額が集まりますが、人口が少ない地域は会費を高くしないと運営費が集まらないのでしょう。
毎月の町内・自治会費を500円とすると、1年で6,000円。2,000円とすると、24,000円です。
これに加え、入会費が2万円かかるなんて地域もあります。
年間12万円 の町内会費!?
今回の調査で一番高い町内・自治会費は、年間12万円でした。
この会費の中には、先にあげた活動費のほかに あまり聞きなれない費用が含まれているようです。
・不在家屋負担金
・公民館修繕積立金
・水路維持管理費
・消防隊運営費
農村地帯では、畑に引く水路の維持管理費や防災放送を流すスピーカーの費用などが掛かっており、空き家が多い地域では、草刈りや見回りなどの費用を不在家屋負担金として当てているところもあります。
移住地を決めるときは町内・自治会費も調査!
町内・自治会へは入会したほうがいいでしょう。
しかし、自分に関係ないものや必要がないと思える費用を払い続けるのは苦痛ですよね。入会したあとに「やっぱり脱退する!」なんてことになると、近所付き合いにヒビが入りかねません。
移住する前に、その地域でかかる費用をしっかりと調査し、納得できる町内・自治会へ入会しましょう。