迷信で成り立つ田舎の風習「捨て子は丈夫に育つ」は今でも続く

いなか裏話
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田舎の風習には迷惑なものもある

子どものころに「風邪は人にうつすと治る」「しゃっくりが100回出ると死ぬ」なんて言われたことはありませんか?親や祖父母から聞かされると、子どもは無条件に信じてしまうものですよね。

しかし、大人になると「これは真実、これは迷信」と分類していくことができます。

田舎では迷信から風習が生まれ、当たり前のように行われる行事や儀式になることがあります。真実と迷信の区別を付けようとしないのが、田舎スタンダード。「しょうがないから付き合うか」と、許せるものならいいのですが、巻き込まれると困ることもあるでしょう。

 

「捨て子は丈夫に育つ」我が子をさらわれそうになった

実家に里帰りして出産をしたAさんの話です。

2日前に男の子を産んだ私は、出産時の興奮と疲れでグッタリモードでした。それでも、同じ病室にいた妊婦仲間と「ハードな体験だった」「修行が終わった」などと、笑い合うまでに回復したときのこと。

夫の両親がお見舞いに来るなり「そろそろ、辻に捨ててこないと」と言い出したんです。

頭が働いていないタイミングだったので、「捨てる?何を?」「辻ってどこ?」など、疑問が頭の中をグルグル回ります。その会話を聞いていた看護婦さんが「ちょっとこちらへ」と、夫の両親を連れだしてくれました。

 

夫の両親は出禁になった

しばらくボーっとしていた私に妊婦仲間が「まだ迷信を実行しようとする人がいるんだね」「赤ちゃんを渡さないようにね」と声をかけてくれて、やっと理解しました。

これは「捨て子は丈夫に育つ」だ!

「本当に捨てようとしているのかも」と思った私は夫へ電話。しかし、仕事中なので出られないようです。病院と相談して、とりあえず夫の両親を入室禁止にしてもらいました。

仕事が終わった夫は病院に来るなり「うちの両親が出禁とはどういうことだ!」とクレームを付けたそうです。看護婦さんに説明されたあと、疲れたような顔で私の病室にきました。そのときの一言がこれ。

夫 「オレも捨てられたのかな……」

私 「知らんわ!!!!」

妊婦仲間 「まず、謝れ!」 「自分の子を守れ!」

ハッとなった夫は「ごめん」といって、新生児室へ向かいました。ガラスの外から我が子を覗いていると、看護婦さんに話しかけられたそうです。昼間に新生児室の前でも夫の両親は「子どもを渡せ」と騒いだそう。

「お母さんと一緒じゃないと、この部屋から赤ちゃんは出せません」と釘を刺され、夫は私の病室に帰ってきました。

 

秀吉も行った「捨て子は丈夫に育つ」とは

体が弱いと判断された赤ちゃんや母親の厄年に産まれた子は、「一度捨てて拾われると丈夫に育つ」といわれていました。

豊臣秀吉もその迷信を信じていたのか、先に産まれた鶴松に「棄(捨て)」、後に産まれた秀頼に「拾」と名付け、形式的に両名とも「捨てられてたのを拾ってきた子」としました。同じように、徳川家康の子である松平忠輝や、8代将軍になった徳川吉宗も捨てられて拾われました。

この迷信は、豊臣家や徳川家が行っていたことから、民間でも「正しい風習・儀式」として広まります。一般的な子捨ての儀式はこのような形で行ってきました。

 

  1. 赤ちゃんをかごに入れたまま、四つ辻(十字路)や道祖神などに置く
  2. 親は振り返らずにその場を去る
  3. 通りかかった人が拾い上げる

といった形式です。

実際は、通りかかった人ではなく、あらかじめ頼んでいた人に拾い上げてもらうそう。そして翌日になってから、祝いの品と一緒に実の両親のところへ赤ちゃんを送り届けるまでが儀式なのです。

 

「双子は縁起が悪い」知識不足からきた迷信

赤ちゃんにまつわる迷信には「双子は縁起が悪い」というものもあります。

この迷信は日本だけでなく、世界中で信じられてきました。1998年に制作された「仮面の男」では、「ルイ14世の双子の弟が幽閉されていた」というプロットを採用しています。これは、ヨーロッパでも「双子は縁起が悪い」と考えられてきたためでしょう。

 

昔から「珍しい現象が起こるのは災害の前兆」と考えられてきた節があります。日食がいい例かもしれませんね。インドでは魔人が神を飲み込むから暗くなるといわれ、日本でも天照大神が隠れるから真っ暗になるといわれ嫌われてきました。

 

双子が生まれるのも「珍しいこと」なので、嫌なコトの前兆では?と考えられてきたのです。

さらに、栄養状態が悪かった時代では双子は小さく虚弱に生まれる場合が多く、死産になることもありました。このようなことが重なって「片方が栄養を吸い取っている」と考えられたため、一人を養子に出したり間引く(殺してしまう)こともあったようです。

 

 

忌み嫌われる男女の双子

また「男女の双子は前世で心中した恋人同士の生まれ変わり」なんてこともいわれます。

この説を聞いて「前世で結ばれなかったから、現世では切っても切れない仲になったのね。ロマンチック……」なんて思った私は、おめでたい人間です。

 

昔の法では、心中は大罪でした。二人とも死んだ場合は、正式な葬儀や埋葬を許されず、残った遺族は恥さらし物に。一人だけ生き残った場合は死罪に。二人とも死にきれなかった場合は、極端に身分を落とされて生き恥をかかされました。

このように、心中者は忌まわしいもの。そして、その生まれ変わりとされる双子も忌み嫌われることになったのです。

 

今でも残る田舎の迷信「双子の妊婦は畜生腹」

「一度に二人も三人も産むのは犬猫の仲間」といった理由から、多産は「畜生腹」などと、ののしられました。

多産になる原因や理由は解明されていませんが、一説には排卵誘発剤が要因とされている説もあるそうです。しかし、不妊治療が確立していない時代から双子や三つ子は確認されていますので、自然なことなのでしょう。

 

 

「捨て子は丈夫に育つ」「双子は縁起が悪い」「双子の妊婦は畜生腹」などは、オカルト的な迷信といっても過言ではありません。それを信じて何かを実行しようとするのはナンセンスで迷惑行為。しかし、閉鎖的な田舎に行くと、いまだに信じられていることもありますよね。

その場合、大抵は「良かれと思って」口に出し、実行しようとしているのです。迷信であることや、医療の発達により子どもの生存率は上がっていることなどを説明し、行事や儀式は必要ないことを分かってもらいましょう。

 

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